女子高生が勉強に疲れて教科書の上に伏せているイラスト

【勉強の相談室】ちょうどいい休憩時間ってどのくらい?/第3回

atama+ EdTech研究所 所長の森本が皆さんのお悩みに答える連載。本日は大学受験を控えた高校3年生からの相談です。

Q. 受験モードの中、どれくらい休憩してもよいのでしょうか?

はじめまして。私は来年大学受験を控えた高校3年生です。
既に部活も引退し、勉強漬けの日々を送っています。自分なりに毎日勉強をしているものの、なかなか成績があがらず焦りを感じています。息抜きも必要なのかなと思うのですが、周囲の友人も受験モードに入っておりずっと勉強しているので、なかなか気持ちの切り替えがうまくできません。

どのようにしていけばよいのか、アドバイスをいただけると嬉しいです。
よろしくお願いします。
【私立高校3年/女性】

A. 休憩はきちんと取りましょう。そのほうが実は効率も上がります。

受験が近づく中で周囲も勉強をするようになると、どうしても焦ってしまいますよね。
実は、休憩を取ることで学習の効率が上がることがデータからも示唆されており、計画的にしっかり休憩をすることをおすすめします。

1時間勉強すると、効率は25%下がる

学習時間が増えれば増えるほど、学習の成果ももちろん積みあがっていきます。
しかし、学習時間が2倍になっても、必ずしも学習の成果は2倍にはならず、それよりも下がってしまう傾向があります。
例えば、1日に30-40分学習した高校生は平均で1.0単元習得していますが、約2倍の60-70分学習した高校生は平均で1.5単元にとどまり、約25%効率が下がってしまいます。

グラフ1。1日の学習時間と学習の成長のグラフ。中学生の場合、学習時間が1日10分で0.2単位を習得。60分で2.0単位と伸びる。70分では2.0単位、90分で2.2単位となり、伸びが鈍化。高校生の場合も同じ傾向で1日10分で0.1単位、60分で1.3単位。70分で1.5単位、90分で1.6単位となる。
1日の学習時間と学習の成果
出典:atama+EdTech研究所 学習データレポート第12回

休憩をすることで、効率が20%アップ!

第1回の記事でもご案内しましたが、休憩を取ることで学習効率がアップすることが示唆されています。
atama+の学習データを分析してみると、1日のログイン回数が増えるごとに、学習効率が高まる傾向があります。このことから、疲れたタイミングで(ログアウトして)休憩した後、(再度ログインして)学習することで学習効率が高められることが示唆されます。
なお、ログイン回数が多くなるほど学習効率が高まりますが、上昇幅が最も大きいのはログイン回数が2回であることから、1回目の休憩が最も学習効率を高めることにつながり、その差分は約20%ptと推察されます。一日の学習時間を確保することは大事ですが、疲れによる学習効率の低下は思ったより大きく、休憩することで効率を上げることができます。
できるだけ効率が高い学習をしていくためにも、集中力が下がってきたなと思うタイミングで思い切って休憩を取ってみてください。

グラフ2。1日のログイン回数別学習効率グラフ。ログイン回数1日1回の学習効率を100%とした時に、2回ログインで119%、3回ログインで129%、4回ログインで136%、5回ログインで139%。
1日のログイン回数別 学習効率
(ログイン1回を100%<基準>とする)
出典:atama+EdTech研究所 学習データレポート第16回

企画
森本典生のスナップ画像
atama+ EdTech研究所 所長
森本 典生(もりもと のりお)
東北大学経済学部経営学科卒業後、株式会社ベネッセコーポレーションに入社。
教師、講師、生徒、保護者への研修や講演は延べ2000回以上。科学的な「伸びる」学習方法やEd Techの価値について研究全般を統括。
監修
内藤純のスナップ画像
atama+ EdTech研究所 データサイエンティスト
内藤 純(ないとう じゅん)
東京大学大学院理学系研究科天文学専攻卒業後、データサイエンティストとして様々な領域の分析及びAI開発に従事。
ビッグデータを用いて、様々な角度から学びの実態を研究。
執筆
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atama+ EdTech研究所 主任研究員
池田 真一郎(いけだ しんいちろう)
早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、株式会社リクルートマネジメントソリューションズに入社。社会人向け教育プログラムの開発・法人向け営業および、事業企画に従事。
ビッグデータの分析・研究を通じて、より良い学びについて発信中。
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